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【2020/4/17発行】
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キューブメルマガ/第88号
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今月のコラム
今、人事と管理職が対策すべきことは何か?緊急事態宣言による社員の心身への影響
送信元:キューブ・インテグレーション株式会社
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現在、感染症対策の長期化を見据えて、社員の安全と事業継続の両面を考慮しながら、
最善の対応を模索されているかと思います。このような状況の長期化により社員の心
身にも大きな影響が出てくるため、メンタルヘルスの観点から、検討のポイントや具
体的な対策について、今回のコラムから数回に渡り、お伝えします。
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人事や管理職は、できる限りの対応を取っているにも拘らず、このような状況下におい
ては、不満や不安の声が多発したり、不調が発生したりするなど、社員のネガティブな
反応は出やすくなります。その背景には、下記の3つの要因が考えられます。
① 危機状態に対する深刻度合いの違い
大規模災害や大事故など同じ危機的状況を体験しても、危機状態に対する深刻度合い(
感じ方・捉え方・対処行動・身体症状)には、個人差が生じます。この個人差は、「スト
レス耐性が低い」「生育環境の影響で情緒が不安定になりやすい」等の個々の脆弱性の問
題だけでなく、「自分の人生を大事にしている」「家族や職場を安心できる場所と感じて
いる」等の個々の価値観や生活様式からのギャップによる問題もあります。今回のような
日常生活の行動制限を伴う危機的状況下では、元々健康な社員は健康を崩しやすくなり、
障がいや疾病を抱える社員は急激に症状を悪化しやすくなります。
② 情報過多時代における新型感染症への恐れ
新型コロナウイルス感染症が、人々の不安や恐怖を助長する理由には、
・ ウイルスは目に見えず、無症状でも感染の可能性があること
・ まだ、明確な予防法や治療法が確立されていないこと が挙げられます。
人間には、自分の生命や安全な環境(住居や職場など)、安心できる他者(家族や友人な
ど)を脅かす、未知のものに恐れを抱きやすいという傾向があります。また、不安や恐怖
は、目の前にある危険から生じることもありますが、多くの場合、正確な情報の欠如や噂
話、デマ情報によっても強化されます。SNSを含めたITが浸透している現代では、情報過
多による不安や恐怖の助長も見過ごせません。
③ 働き方の変化によるコミュニケーションの齟齬
感染症の拡大防止の観点から、企業では、会議や研修会といった職場内の意識合わせの機会
が大幅に減りました。また、緊急事態宣言の発令により、職場内の人々の接触を避ける対応
方針に切り替わり、在宅勤務を想定していなかった企業も、急きょインフラを整備し実施し
ています。在宅勤務は、私生活との切り替えの難しさ、コミュニケーションの取りづらさ等
の不具合も生じやすく、慣れない環境変化によるストレスも大きくなっています。緊急事態
時には、平常時よりも情報伝達が重要となるにも拘らず、上司や同僚との物理的なコミュニ
ケーション機会が減少したことにより、会社のメッセージや対応方針の背景や本意が、十分
に社員まで伝わらないことも社員からのネガティブな反応を生み出しやすくなります。
以上のような3つの要因が混ざり合い、社員達は心理的な安全や安心が脅かされています。こ
のような状況に対して、人事と管理職が対策すべきことは、①と②を意識した③への対応【タ
イムリーな情報発信/コミュニケーション】です。
【タイムリーな情報発信/コミュニケーション】
・ 会社や人事からの情報発信を通常よりも増やす
企業では、次の段階を想定し、様々な対策を検討していると思います。一方で、社員に不確定
情報を伝えることでの混乱を懸念し、情報発信を慎重になるかもしれません。しかし、心の準
備を全くしていなかった社員は、次の段階に進んだ際の新たな環境変化を受け止めることがで
きず、会社に対する不信感や怒りを強めることになります。不確定情報であっても、社員への
心理的な安全や安心を与えるメッセージとなるのであれば、その時点で把握できている今後の
見通しを早めに伝え、社員の心配事に耳を傾けることが安心感につながります。
・ EAP窓口を案内する等、セルフケアの啓発活動を行う
感染症に対する捉え方、そこから派生する感情や行動は個々で違いが見られます。全社員の健
康相談を産業保健スタッフのみで対応することは困難なため、EAP等の社外相談窓口をあらた
めて周知し、セルフケアの啓蒙活動を行うことも効果的です。また、管理職自身も危機的状況
の当事者であり、部下とは異なる立場による高ストレスの状況もあると思います。部下の状況
に想像力を働かせ、適切な対応力を発揮するためにも、管理職こそ一層のセルフケアが求めら
れ、今後の感染症対策の長期化に備えなければなりません。
・ 部下の接点を意識的に増やす等、積極的なラインケア活動を促す
物理的なコミュニケーション機会の減少により、ラインケアで重要な早期発見/早期対応が難し
くなります。管理職が「最近の働き方で、不具合を感じることはないか?」「健康状態で気に
なっていることはないか?」等、通勤も含めた勤務状況を確認することで、1人1人に合わせ
た働き方の検討も可能となります。実際に在宅勤務を行った場合も、1人で仕事を抱えてしま
ったり、集中力の持続が難しかったり、新たなパフォーマンスの問題が発生することもありま
すので、定期的な状況確認が大切です。また、緊急事態時には、些細なことでも躊躇なく、人
事や管理職が早めに専門家へ相談するような意識づけが必要です。
緊急事態宣言の解除後も続く、感染症対策の長期化を見据えて、社員のモチベーション維持と
健康管理のために、今できる対策から徐々に実施していきましょう。
(シニアコラボレーター 諏訪 裕子)
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