メルマガバックナンバー【Vol.82】(2019年10月28日発行)

 

このメールマガジンは、以前弊社のメンバーが名刺を交換させていただいた皆様に
お送りしています。

今後、キューブ・インテグレーション株式会社からのメールマガジンがご不要の方は
本メールの末尾のアドレスまでお問い合わせください。

【2019/10/28発行】

□■-------------------------------------------------------------------------------------------------------□■

         キューブメルマガ/第82号

□■-------------------------------------------------------------------------------------------------------□■

今月のコラム

障がいへの配慮と逆差別の境界とは
送信元:キューブ・インテグレーション株式会社
_____________________________________

厚生労働省(2019)によると、平成30年度のハローワークを通じた障がい者の就職
件数は102,318件(対前年度比4.6%増)となり、初めて10万件を越えました。
この報告からも分かる通り、障がい者の雇用を進める企業は着実に増えてきており、
平成30年4月から2.2%に引き上げられた法定雇用率の順守を意識する企業も目立って
きました。令和3年4月までには2.3%まで引き上げられることが決まっているので、
今後も障がい者雇用の促進は続くものとみられます。

今年7月のメルマガ※でも触れた“雇用体制づくり”に力を入れようとしている企業も
あり、管理職や一般社員に向けた教育研修などの必要性にも目が向けられるようにな
ってきました。
そのような中で、障がい者の雇用現場の中で一部の一般社員から不満の声が聞かれる
ようになりました。
それは「障がい者だからといって何から何まで配慮されてよいのか」というものです。

厚生労働省が掲げた合理的配慮指針(2015)では、合理的配慮について、障害者から
申出があった措置が‘過重な負担’に当たると判断した場合には、措置が行えない旨を障
害者に伝えるとともに、その理由を説明することが定められています。(指針 第5)
なお、過重な負担かどうかは、①事業活動への影響の程度、②実現困難度、③費用負担
の程度、④企業の規模、⑤企業の財務状況、⑥公的支援の有無、の6つの要素を総合的
に勘案し、個別に判断することとなっています。

しかし、前述のように「障がい者だからといって‥」と一般社員から不満の声が聞かれ
るということは、職場が過重な負担を負っている状況にあるということになります。
障がい者雇用について真剣に取り組んでいる企業は、障がい者にとって働きやすい職場
環境の実現を目指しているため、障がい者本人の要望に可能な限り寄り添った対応をし
ようと心掛けます。体調の変化、顔色の変化にも気を配り、本人がやりたがらないこと
苦手なことはやらなくてもよいという判断を職場の中で下しがちです。
これは一見、障がい者雇用に理解がある職場のように見えますが、実はこれが過重な負
担のきっかけになっていることが多いのです。

このような過重な負担が生じている職場では、逆差別が起きていることがしばしばあり
ます。
逆差別とは、差別の対象となっていたものに配慮/優遇し、差別をなくそうとする動きの
中で、これまで優遇されてきた環境の利益や公平性が損なわれることにより生じる差別
のことを言います。障がい者雇用における逆差別とは、雇用された障がい者に行き過ぎ
た配慮をすることにより、それまで働いていた他の社員との公平性が損なわれてしまう
状態のことを言います。
この逆差別が生じている状態が長期化すると、障がい者と一緒に働いている一般社員が
(主に業務量、業務の質において)不公平感を感じて士気が下がったり、フォローに時
間が取られて全体の生産性が落ちたりします。

また、合理的配慮指針では、合理的配慮は障害者と事業主との相互理解のなかで提供さ
れるべきであるという基本的考え方があり、事業主が障害者と話し合うこと等の手続き
が必要であるとされています。(指針 第2)

前述の逆差別が起きている職場では、人事や管理職が障がい者本人とこまめにコミュニ
ケーションをとったり、面談を行ったりしていても、本人の主張や困り事を聞くばかり
で、「話し合い」として成り立っていないことが多く見受けられます。
障がい者の雇用現場の中で逆差別が起きてしまわないように、職場では障がいに関する
適切な知識をもつことだけではなく、障がい者本人からの‘要望’と、安定的に雇用を継続
するための職場の‘必要性’を適切に見分けられるようになることが求められます。

※メルマガバックナンバー:https://www.cubeintegration.com/ニュース/メルマガ/    

参考資料:
・厚生労働省(2019)平成30年度 障害者の職業紹介状況等
・厚生労働省(2015)合理的配慮指針


(アソシエイトコラボレーター 種市 冴美)

================================================================

●配信停止/登録に関するお問い合わせ info@cubeintegration.com 
●編集:キューブ・インテグレーション株式会社
●ホームページ https://www.cubeintegration.com/
●本メールは等幅フォントで最適にご覧頂けます。
●本メールマガジンの記事の無断転載を禁じます。 
Copyright(C) 2019 Cube Integration Co., Ltd. All Rights Reserved.

================================================================